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M&Aの企業探索③

前回までの2回で、
・売却検討先の事業内容の把握のポイント
・買収検討先の探索のポイント
を整理しました。


読んで頂いている方からすると
そんなことは当たり前だし、M&Aでなくても企業調査する時は必ずやっているよ、
と思う方も多いと思います。

実際、その通りなのです。
M&Aでなくても、コンサルティングをする際、
融資をする際、投資をする際に、
これまで述べたようなポイントは出てきます。

しかし、私の実感では
M&Aの検討初期段階でこれらを網羅して知ることができることは、稀です。
部分的にはまとまっているのですが、
足りない箇所、分からない箇所があるといのが普通なのです。


理由は大まかに整理すると以下の3つです。

①売り手側の理由(初期段階では隠しておきたい、正確に把握していない)
②買い手側の理由(初期段階で真剣に考えていない、正確に把握していない)
③仲介者側の理由(買手側、売手側との関係性)


また、仲介者側の要因で考えても仲介者のバックグラウンド
(元々の出身母体、M&A仲介会社、銀行、証券会社、ベンチャーキャピタル、
会計事務所・税理士事務所、経営コンサルタント、不動産関連等)
に寄って、企業の見方に特徴があります。

当然、私にも会社の見方には特徴があります。

こうした中でM&Aの探索業務を行うために、必要な力があると思います。
私が必要だと考えている能力・経営資源は以下の通りです。

①対象企業との関係構築力
②不足情報補足力
③ネットワーク構築力
④情報把握ツール
⑤伝達力


やや分かりづらい言葉もありますので、
次回以降で、これらを説明していきます。


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M&Aの企業探索②

前回はM&Aでの候補先探しをする時の
売却対象企業を把握する方法について触れました。

今回は、売却候補先の概要が分かった状態で、
買収検討先を探す際のポイントをまとめます。

私が成長意欲の強い経営者の皆様とM&Aの話をすると、
大体次のようなことをおっしゃいます。

・先日同業者が買収をしたので、当社も買収を検討してみたい
・成長のために、買収を検討したい
・良い話があったら検討するので、ぜひ案件を紹介してほしい


この言葉をうのみにして、実際に売却検討先を紹介すると、
急にシビアになり、お話が進まないということがありました。

こうしたことも経験をしながら、私はだんだんと提案のコツをつかんできました。

そして、実際に買収の検討を進めていくためには、
アドバイザーとして、以下の3つの要素をできるだけ詳しく知っている必要がある
という結論に至りました。

その3つとは以下の通りです。

(1)買手企業の「今」
(2)買手企業の「計画」
(3)経営者の「人となり」


以下、説明をしていきます。

(1)買手企業の「今」
一言で言えば、現在の事業内容です。
しかし、一口に事業内容と言っても、様々な切り口があります。
前回も食品卸の例で説明をしましたが、単純化しても以下のような切り口は最低限必要です。

 
①誰に
・顧客は誰か(レストランのような業務用か、量販店のような消費者向けか)
・顧客の比率(業務用、消費者向け比率)
・顧客偏在性(顧客の集中、分散度合)

②何を
・商材(生鮮品、加工品、常温品、冷蔵品等の区分、オリジナル商品の有無)
・サービス(直接配送の有無、対応時間)
・価格帯(高価格、中価格、低価格、その比率)

③どのように
・組織・人員(組織構成、人員配置)
・流通方法(直接、間接比率)
・営業エリア(商圏)

これに加えて、年商、利益率、資産の状況等、財務的な側面も重要です。
しかもこれらは日々変わっていきます。
定期的に買手候補企業の事業内容を把握しておく必要があります。

(2)買手企業の「計画」
M&Aは通常、成長戦略実現の手段として検討されます。
従って、買手企業がどこに行こうとしているかを知っている必要があります。


この「どこに行こうとしているか」が「計画」です。
経営計画は上場企業であれば、IR用に発表しているものもありますが、
同業他社に見られて困るような内容は当然公開はされていません。

こうした社員ではないとわからない経営計画を把握して、
どれだけ理解できているかが、共感できているかが重要だと思います。

現状に加えて、計画を知っていることで、その計画実現のための
手段としてM&Aを検討頂きやすくなります。

(3)経営者の「人となり」
企業は経営者で決まるとは言いますが、M&Aのように
事業自体を売り買いする大きな意思決定が必要な場合には
更に、経営者の役割は大きくなります。


また、すぐれた経営者には、経営者「勘」とも言うべき独自の判断基準を持っています。

役員が皆反対する中で経営者が決めた決定が、後々大きな成功につながったと言う例は
少なくありません。

従って、経営計画という会社で決めた計画に加えて、その会社の社長が
どのような人かを知っていることは非常に重要だと思います。

以上、3つのポイントを説明しましたが、この3つをしっかり把握していると
M&Aで提案すべき案件は明確になり、検討して頂きやすくなります。

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ABCマートに見る業態転換・M&A

突然ですが、私はABCマートが好きです。
私は中学校、高校生地代ににバブル経済を体験しました。
当時はDCブランド全盛期。
とは言っても中学生、高校生ですから使えるお金は知れています。

そんな中で、当時はやっていたのが、Hawkinsというブーツのブランドです。
私も欲しかったのですが、そのHawkinsを売っていたのがABCマートです。
ABCマートは、他の靴の小売店と比べて非常にオシャレで光って見えました。

今思うと、なぜDCブランド全盛期でHawkinsなのかは
良くわかりませんが(笑)、大人になったような気がしたかったのでしょう。

さて、今回のタイトルですが、日経新聞に
経営者が中間管理職だったころを振り返る「私の課長時代」という記事があります。


先週、今週の回がはABCマートの野口実社長の話だったので、一ファンとして
ミーハーな気持ちもあって興味深く読んでいたのですが、実は
ABCマートは業態転換や事業提携、M&Aという視点でも非常に興味深い企業です。

今回の記事の中でも以下の点が面白いと感じました。

・ABCマートは元々は輸入服の卸・販売業だった
・Hawkinsは95年に英社から商標権を買っていた
・2002年に卸から小売りに一本化した。現在は国内に770店舗。
・業態転換するきっかけの一つに大手取引先の問屋の倒産があった。
・小売に業態転換する中で社員の不満とも向き合った。
 商社に入ったと思ったのに小売業特有の土日出勤に抵抗のある社員に対し
 自分が売り場に立ち、率先垂範した。


服の卸が、靴の小売へ業態転換し、看板製品は商標権を買ってしまった、
と言うことですが、コンサルティング、M&Aに携わる立場で考えると、
これだけの決断や実行は相当難しいと思います。
特に業態転換は理屈ではその通りなのですが、多くの企業では
なかなか変わろうとはしません。

以前に野口社長が別の記事で、売り場には毎週出るというのを
読んだ記憶がありますが、それにはこういう背景があったのかと思いました。

最近ではABCマートは、米国ホワイトブーツ社(高級ブーツメーカー)買収や
少し前では、米国ラクロスフットウェアや、そのOEM供給先の石川県の靴工場の買収等
M&Aでもでも有名です。


卸⇒小売⇒製造と事業領域を広げる様は、非常に興味深いです。
最近ではHawkinsのブーツははいていませんが、ABCマートの店頭に行ってみたくなりました。

今回の記事を読んで、改めて、新たな業態を創る事業提携やM&A
サポートをしたいとの意を強くしました。


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事業承継のためにビジョンの見える化を!③

前回、事業ドメインは「自社は何業か」を定めるものであると
お伝えしましたが、今回は事例を基に、この点を掘り下げたいと思います。

マーケット縮小時代には、これまでの同業者からいかに差別化するかが重要です。
弊社では差別化の切り口として、物理的ドメインから機能的ドメインへと提唱しています。

本件は弊社代表の著書である戦略の見える化
詳しいのですが、最近の事例でも説明をしてみます。

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5月23日付の日経新聞で吉野家ホールディングスの安部修仁会長が経営の第一線から
退くという記事が出ていました。


吉野家と言えば牛丼です。
牛丼を販売する牛丼店というのは物理的ドメインです。
機能的ドメインは「早い、うまい、安い」です。
牛丼は注文してから食べ終わるまでに平均7~8分という恐るべき高回転率です。
早い、うまい、安い、どれか1つではなく、3つを両立したことが顧客にとっての価値だったのです。
余談ですが、昔流行ったキン肉マンというアニメでも「早いの、うまいの、やっすいのー」という歌が歌われていました。
30年近く前に見たアニメですが、今でも歌を思い出すほど強烈な機能的ドメインです。

吉野家はこの「早い、うまい、安い」の機能を牛丼に込めて、磨き続けることで、成長をしてきました。
しかし、同時にこの「早い、うまい、安い」に追づいする他のファーストフード、コンビニ業界、
中食産業も成長してきました。


加えて、2003年のBSE(牛海綿状脳症)は吉野家にとって大打撃でした。
「早い、うまい、安い」の機能を実現する上で重要な米国産牛肉の仕入れが困難になったためです。
牛丼店としての吉野家は同業他社に比べてやや勢いを失ったかに見えました。

しかし、さすが吉野家です。
「はなまるうどん」、ステーキチェーンの「どん」等を買収し、多角化への布石を打ってきました。
そして、事業ドメインとしての極めつけは大ヒット中の「牛すき鍋膳」です。
牛すき鍋膳は牛丼の7~8分に対して、注文から食べ終わるまでに15分から20分かかります。
従来の「早い、うまい、安い」の機能的ドメインには当てはまりません。

この記事で私が注目したのは、牛すき鍋のキャッチフレーズを
「うまい、安い、ごゆっくり」に変えたという点です。
「うまい、安い、ごゆっくり」とすることで、顧客の価格志向から価値志向への変化に
うまく対応できたのが大ヒットにつながったのです。

キャッチフレーズと書かれていますが、吉野家の現在の事業展開をみていると
機能的ドメインと言い換えても良いと思います。


この機能的ドメインの変更は、言葉で表すと簡単なのですが、
実現し継続することには大きな困難が伴います。


しかし、時代の変化、環境の変化に対応していかないと企業は生き残っていくことができません。

御社の機能的ドメインは何でしょうか?
ぜひお聞かせください。
そしてその機能的ドメイン実現のための手段として、M&Aを考えてみましょう。


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事業承継のためにビジョンの見える化を!①

有名な経営トップの引退のニュースが相次いでいます。

5月9日(金)の日経新聞で3名の経営トップの引退が報じられました。
・オリックス  宮内 義彦 会長兼CEO (78歳)  
・ダイキン工業 井上 礼之 会長兼CEO (79歳)
・エイサー   施 振栄  董事長 (69歳)
 

皆、名経営者として、名をはせた方々です。
とりわけ、私は短い期間ですがリース会社で営業をしていた経験もあるので、
オリックスの宮内会長の引退には感慨深いものがあります。
一方で78歳になっておられたということにも驚きました。

当たり前のことですが人間は年を取ります。
カリスマ経営者であっても同様です。

一方で、会社がゴーイングコンサーンとして継続する法人であるという原則を考えると、
事業承継は必要となるのです。

私は日々、M&Aの仕事をしておりますが、
非上場企業の中堅中小企業にとって
M&Aと事業承継は表裏一体の関係です。
本当は身内や社員に継ぎたいのだが、様々な事情から叶わず、
売却を検討するというご相談が実に多いのです。


そこで、中堅中小企業の皆様の事業承継を円滑にして、
事業をより発展させる手法の一つとして、
弊社では「ビジョンの見える化」をお勧めしています。


我々は経営の見える化を提唱しており、ビジョンの見える化については
以前のブログでも書かせて頂いております。
この手法はその後も、継続して、多くの企業様でお役に立っておりますので、
改めてその効用に触れたいと思います。

「ビジョン」と聞いてみなさんは何を連想されるでしょうか。

「ビジョン」とは英語のビジュアルという言葉の類義語で、視覚に関する言葉です。
「経営のビジョン」と言う言い方もしますが、これは経営の将来像のことで、
目に見える、視覚でイメージできる「経営のあるべき姿」のことです。
平たく言うと、「うちの会社、こうなってると良いよね」という視覚イメージです。


人口減少、マーケット縮小が叫ばれ続けている今の日本社会で、
このビジョンは実は非常に重要なテーマとなります。
というのが、私がM&Aを含む、コンサルティングの現場で感じることは
多くの経営者が、この「ビジョン」に悩んでおられるためです。

具体的には以下のようなお悩みを聞きます。
・わが社にはビジョンが無い 考えずに来てしまった
・ビジョンはあるが、創業時のままである(経営理念との混同)
・ビジョンが曖昧である、見直しをしていない
・自分で作ったものではなく、ビジョンに自信が持てないでいる
・自分にはおぼろげながら見えているが、役員以下の社員には
 伝わっているか自信がない(伝わっていてほしいのだが)

いつの時代も先のことはわからないのですが、日本国内だけで考えると
縮小市場の中で先を考えたくない、考えづらいという心理的側面が
こうした現状を後押しをしているように思います。

しかし、事業、会社は継続していかねばなりません。
会社にとって新たなビジョンも創っていかねばなりません。
ビジョンは誰も作ってはくれないのです。

こうした時の一つの手法が「ビジョンの見える化」です。
私どもで取り組んでいる見える化のコンサルティングです。
次回、この方法、効用をお伝えしていきたいと思います。



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プロフィール

森 利彦

森 利彦 早稲田大学商学部卒業。
小売業、リース会社を経て、NIコンサルティング入社。
250社以上の可視化経営に関わるコンサルティングを実施後、教育研修事業、M&A事業に携わる。
中小企業診断士 PHP研究所認定ビジネスコーチ。

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